「みっちゃん、一緒に帰ろー」


「うん、帰ろかマナ」


マナの頭を撫でて、カバンを持つ。


「あ、おいミチ、マナを誘拐すんな」


「さぁさ、帰ろ帰ろ」


「シカトかい!」


「………」


「み、みっちゃん?」


「んー?どうしたん?マナ」


「や、ヤスくんが……」


マナのうるうるの瞳に、負けた。


「なんやねん」


奴を睨み付けると、『おい、そんな熱い瞳で見つめんな』とニヤニヤしながら言った。


「なんでこんな機嫌いいか気になるやろ?」


「……別に……」


「照れんなって」


まったく、まったく照れてない。


正直どうでもいい。


「ヤスくん嬉しそう」


マナも嬉しそうに言う。


こんな可愛いマナに、こんなに想われてるヤスって………



すっごいムカつく。


「なんやねん。いいからはよ言って」


『おいおい乱暴やなぁ』ってヘラヘラするヤスは、嬉しそうに言った。


「ヒロさんがな、『お前に頼みがある』って……!」


……は?兄ちゃんがなに?



*