「あ、あの!!」


場所は裏庭


人通りが少ないから、カップルのイチャイチャや、告白にはうってつけの場所。



あたしの前にも、顔を真っ赤にさせた男の子が一人。


イケメンやのにかなりの純粋さんやって噂の、隣のクラスの……佐藤くん?



「あ、あの、俺……隣のクラスの田中って言うんやけど……」


あ、佐藤じゃなくて田中ね。



「ずっと、相沢さんのこと好きやった!付き合ってほしいです!」


「ごめん」


「早っ!!」


「うん。あたし、好きとかわからんから。じゃ」



彼に向かって手を上げると、彼は放心状態で立ち尽くしていた。


くるりと彼に背を向けると、校舎に向かって歩きだす。



実は、お昼ご飯の途中なんよね……


お腹空いた!!




校舎に入ろうと、方向を変えた時……


ぐいっ


「キャッ!!」



気付いた時には目の前が真っ暗になっていた。



この匂いは……



「兄貴」


「おう」



しゃがんでいる兄貴に抱き締められてるから、体勢はキツイし息はできない。



「離して」


「なんで」


「離せ、アホ兄貴」


「ちっ」



腕がゆるんだ隙にパッと顔を上げると、そこにはいつも通り意地悪に笑ってる兄貴がいた。



*