「時雨・・・・でしたら、秋時雨のがずっと素敵ですね」 ほとんどかわりない道路をうつむきながら進むと、何か、聞こえた。 重いからかさを少し上にあげて、ちらと見る。 12番目の電柱の横に、誰か立っている。 きつそうなサンダル。ユニクロで買ったような黒いパンツ。そして、何より目についたのは・・・・・。 赤い半纏。 使い古されて、赤黒いような色になっている。