それから何事もなく日々はすぎていった。 あれから特に瑠璃は記憶の事について何も言わなかった。 日々がすぎていくという幸せを噛みしめながら、オレ達は今まで通りに過ごしたのだった。 そんなある日のことだった。 「先生!」 「うん?」 「外行きたい。」 「外って、隣の百合畑か?」 「うん。」 「じゃあ行くか。歩いていく?」 「今日は車椅子。」 「分かった。とってくるから待っとけよ。」 オレはそう言って車椅子を取りにいった。