あの握手会の日――…
俺は一瞬
自分の目を疑ったんだ…。
あまりにも美衣に会いたい気持ちが強すぎたせいで。
そのせいで
美衣の幻でも見えちまってるんじゃないかってさ…。
あの時は、現状を把握するにはあまりにも時間が短すぎて。
俺は一言も声をかけることさえできずに…
驚いているその間に
美衣はあっという間に俺の前から姿を消していた…。
久しぶりに見た美衣は
相変わらず童顔だけれど、あの頃の美衣よりすこし幼さが消えて、大人っぽくなっていて…。
さらに綺麗になっていた―…。
あの日――…
俺は久しぶりに美衣に会って
思い知らされたんだ…。
俺はいつまで経っても
美衣のことを
"過去"として
割り切れていないっていうことを――…。
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