トイレから出ると―…。
キョロキョロっと、左右を見渡すあたし。
『…あれっ!?
部屋って…どこだっけ…?』
あたしは右から来たのか、それとも左から来たのかという記憶さえない…。
「どーしよ…」
どっちを見ても、同じような作りで目印もないし…。
『あたし、部屋戻れないよーぉ!』
通路でひとり、途方に暮れていると―…。
左側の廊下から
スラッと背が高くて、帽子を目元が隠れるくらいまで深く被っている男の人が、こちらへと近づいてくる―…。
『…う…うそ…』
その姿を一目見た瞬間―…
心臓が跳ね上がった。
だってその男の人は…
「優っ…!?」
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