優はその問いに対して、ゆっくりと答え始めた―…。
「ほんとはずっと…
みんなに会いたいと思ってたよ…」
その言葉に
なぜだかあたしは、ビクンッと反応をしてしまった…。
「俺が想像してたより、この業界は厳しくてさ…。
なんで俺は、こんな大変な世界に足を踏み入れちゃったんだろう…とか、フツーの生活に戻りたい…とか、ぶっちゃけ最初の頃はそんな甘えたことばっか思ってたんだよね…。」
「―…………」
みんなは静かに
優の話に耳を傾けている―…。
「だけど、自分で決めた道だし…。
俺はこの世界で頑張るって約束したから…。
だから、それなりの成果を出すまでは…
みんなには会わないでおこうって、そう決めてたんだ…。」
"約束"って……
もしかして…
卒業式のあとに
あたしと指切りをしたときの…?
あの"約束"のこと…?
その約束を果たすために。
優はここまで
たったひとりで闘い抜いて
走り続けてきたの―…?
そう思ったら
あたしの胸はキュッと締め付けられて、苦しくなった。
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