その時…
「ごめんっ!遅れたっ!!」
と、優の背後から章司が現れた。
「…って…、優っ!?」
遅れて来た章司も、優に気付くと、びっくりしている。
「おう!久しぶりだな、章司」
優は章司に笑顔を向けた。
「よしっ、これで全員揃ったことだし!始めるかっ!
ほら、突っ立ってないでふたりも早く席着けよ!」
ずっと優の後ろに立っていた淳也が、ふたりの背中を押した。
「今日の主役は優だから、おまえはここな♪」
そう言って、淳也は
あたしの目の前の席を指差した。
「―………!!」
えっ…!?
優があたしの前っ…!?
まっ、待ってよっ!!
目の前に優がいたら…
あたしの心臓が
持たないってばーっ!!!
ひとり動揺するあたしを余所に
「おう!」と笑顔の優は、なんのためらいもなく、座布団に腰をおろしている。
「―………!!」
――…信じられない。
あんなに毎日
会いたくて会いたくて
仕方がなかった人が―…
今、こうして自分の目の前にいて。
手を伸ばせば、すぐにでも触れることができる距離にいるなんて―…。
信じられないよ―…
まるで、夢でも見ているみたい…。
ねぇ?
もしかしたら――…
こういうことを
"奇跡"と呼ぶのかな―?
.



