それから、どれくらいの時間が経っていたのだろう…?


放心状態のあたしは、気付けば真央とファミレスに入っていた。




「はい、アイスティー」

そう言って、真央があたしの分のドリンクも持ってきてくれると、あたしの目の前にそっと置いてくれた。



「…ありがと」

あたしはストローをさすと、飲み物を口に運ぶ。


スーッと喉を通っていく液体が、とても冷たくて気持ちがいい。


やっと少しずつ放心状態から戻りつつあるあたしは、張り詰めていた緊張感からも解き放たれて、一気に気が抜けてしまった。


「はぁ…」と、思わずこぼれる、小さなため息。



「美衣、大丈夫?
生の優くんがあまりにもかっこよすぎるもんだから、失神しちゃった?♪」

なんて、茶化してくる真央。



「…ほんとあたし…、
どしちゃったんだろね…。ははっ…」

無理に作ってみせた笑顔は、きっと引き攣っているに違いない…。



「無理もないよね〜!
あのかっこよさは犯罪並みだもんっ♪
そっかそっかぁ、美衣もすっかり優くんの虜になっちゃったかっ♪」


ひとり納得して、頷いている真央。

真央がそう思ってしまうのも、無理もないよね…。





知るはずもない
あたしたちの"関係"…。



もちろん
話すつもりもないけれど…。


だけれど、

胸の奥がほんの少しだけ
"チクンッ"と痛んだ…。




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