今にも溢れだしそうな涙を必死にこらえていると…。


優はあたしの手を引き、人気の少ない建物裏にあたしを連れ込んだ…。



「―………?」


あたしはゆっくりと優の顔を見上げると―…。




ふわっと漂う、優の香水の香りに包まれて…。



「…優…?」


あたしの体は、優の腕の中にすっぽりと包み込まれていた…。




「美衣…ごめん…」


「…え?」


「俺さ…
いつも美衣に寂しい思いばっかさせちゃってるし…。
付き合ってから、デートらしいデートもできてなかっただろ?
だから、たまには美衣が行きたいトコに連れてってやりたくてさ。
俺らはやましいことなんかしてないんだし、俺はフツーに美衣とデートしたかっただけなんだ…。
だけど俺の考えが甘かったせいで、こんなことになって…
美衣に嫌な思いまでさせちまって、ホントごめん…。」



…優……。


「…なんで優が謝るの?
優は何も悪くないよ。
あたしは今日ここに連れてきてもらえて、ほんとに嬉しかった。

それなのに、ごめんね…。

あたし、周りに認めてもらえるように…
もっともっと、頑張るから…だから……」



「何言ってんだよ…」


優はあたしの体を離すと、真っ直ぐにあたしを見つめた…。


その真剣な眼差しに

あたしの胸はドクンッと大きな音を立てる―…。






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