ゲートをくぐり、一歩パーク内に足を踏み入れれば
そこはまるで別世界…。
ここは、大人も童心に返ることができる夢の国――…。
胸弾む音楽に乗せられて、早く中へと歩き進めたくなる欲望が高まっていく―。
それは優も同じなようで
「よしっ!美衣いくかっ♪」
「うんっ!」
満面の笑みをこぼした優は、あたしの右手をとると、軽快に歩き出した。
強く握られた右手からは、優の温かい体温が伝わってくる―。
あたしは優の綺麗な横顔を見上げると。
目尻は自然と下がり、口元は緩んできてしまう。
なんだか幸せな夢でも見ているみたいだよ―…。
優が芸能人である限り…
こうして人前で手を繋いで歩くことなんて、もう出来ないと思っていたから…。
だから、ずっと優と来たかったこの場所で、こうして昔みたいに普通のカップルのようにデートができることが、本当に本当に嬉しいんだ…。
あたしは幸せを噛み締めるように、優の手をギュッと強く握りしめると。
優はあたしに視線を落とし、そしてドキッとするくらいに甘い笑顔を浮かべながら、あたしの手を強く握り返してくれた―…。
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