「ところで…
今、どこ向かってるの?」
今日は優の久しぶりのオフで。
少しでも長く一緒にいられるようにと、優は朝からあたしを迎えに来てくれたんだけれど…。
行き先や今日の予定は何も聞いていなかった…。
「…え?そうだな〜、楽しいところ…かな♪」
そう言って一瞬こちらを見ると、ニヤッと笑い、また視線を真っ直ぐに戻す優。
「楽しいところ?
…って?
もうちょっとヒントちょ〜だい?」
「ん〜、ヒントかぁ…。
俺が前から美衣と行きたかったところでー。
人がいっぱいいて賑やかでー。
美衣の好きなキャラクターがいっぱいいてー。
その場所にいると、時間も嫌なことも忘れられてー。
夢を見せてくれるところ…かなっ?
…って、ここまで言ったら、さすがに鈍感な美衣ちゃんでもわかっちゃうか♪」
なんて、優はすごく楽しそうに笑っている。
「ちょっと優〜!
あたしより鈍感な人に、鈍感だなんて言われたくないんですけどーっ!」
「うわっ!叩くなって!危ねーだろっ!?」
「あっ!ごめん…!」
あたしは、思わず優の左腕を叩いてしまっていた手を引っ込めた。
「まっ、楽しみにしといてよ♪」
「うん…」
優は…
前にあたしが漏らした言葉を覚えていてくれて…。
その場所に連れて行ってくれるつもりなんだと、すぐにピンときた―…。
優のその気持ちは
すっごいすっごい嬉しい…。
だけど…
あんな人で溢れかえってるような場所に行っても…
大丈夫なのかな…?
あたしは目的地に到着するまでの間…
そんな不安を抱き、拭い去れずにいた…。
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