「高校受験の日…。
あまりの緊張から、肝心な消しゴムを忘れて困ってた紗菜に、隣の席に座ってた男の子がそれに気づいてくれて…。
『これ使って』って、そうにっこり笑うと、自分の消しゴムを半分にちぎって、その半分を紗菜にくれたんだ…。
その"男の子"が優で…。
紗菜たちの出会いだった…。
紗菜はすごい嬉しくて。
その笑顔が優しくて、かっこよくて、頭に焼き付いたままずっと離れなくて…。
『紗菜もあの人も無事に合格して、また4月に会えますように…』
って、そう思ってた…。」
―…知らなかった…。
ふたりには
そんなことがあったなんて…。
そんな出会いをしていたなんて…。
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