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あの旅行から
一週間程過ぎたある日…。



次の仕事へ移動する車中で、長井さんの携帯の着信音が鳴り響いた―。



「はい、長井です。」

長井さんは電話に出ると。


「…はい。…はい。


えっ!?
それは本当ですか!?


今、車を停めますので少々お待ちくださいっ!!」


電話の相手に何を言われたのかは解らないが、こんなに動揺をしている長井さんを見たのは、初めてかもしれない…。



『なんかあったのかな?』


なんだか、ただ事ではないような気がして。
俺は読んでいた台本から、長井さんへと視線を移した。




長井さんは急いで車を道路脇に停めると。


「社長からです!」

そう言って、俺に携帯を渡す長井さんの顔は、青ざめていた。




「え?…俺に?」


なんの用なんだろう…?



たいていの用事なら
いつも長井さんに話して終わりなのに…。



長井さんの様子といい、社長から電話がくるなんて…


なんだか、良からぬ予感がするんだけど…。



俺は、恐る恐る長井さんから携帯を受け取ると、電話に出た。


「もしもし?おはようございます。」



この業界では朝晩関係ナシに、"おはようございます"と挨拶するのが基本だ。




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