ゆっくりと唇を離すと…。


恥ずかしくて
優の顔を見ることができない…。




「…また、連絡する」





―…もう

お別れの時間だ……。




「うん…。

お仕事頑張ってきてね。」



名残惜しさを残しながらも

繋いでいた手を
ゆっくりと離した―…。




「さんきゅ!

……じゃあ、…またな!」



「うん、またね」




また…、

すぐに会えるといいな―…。






後ろ髪引かれる思いで、助手席から降りると…。



優はあたしに手を振り。

そして、車を走らせた――…。




…優…



夢のような時間を
本当にありがとう――…。



そう心の中で囁きながら



あたしは車が見えなくなるまで、手を振り続けた―…。





まさか、この甘く幸せすぎるほど楽しかった旅行が…。



この後、取り返しのつかない、とんでもないことになってしまうなんて、知る由もなく――…。





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