すると、運転席からは
30代半ばくらいの、小太りで眼鏡をかけた男の人が出てきた…。
そして、その人とバチッと目が合うと…。
「…美衣さんですよね?」
なんて、いきなり見ず知らずの人に、自分の名前を呼ばれるもんだから。
「……え?」
思わず、後ずさりしてしまった。
…誰なの?…この人…。
なんであたしの名前を、知っているの…!?
あたしは警戒するように、身を構えた。
「あっ、先に名乗らなくてすみません。
私、優のマネージャーをしている、長井と申します。
けして怪しいものではないので。
そんなに警戒なさらないで下さい。」
そう言って、その人は目を細めながら、ニコッと柔らかい笑顔を浮かべている。
「…あっ!マネージャーさん!
そうだったんですね、すみません…」
な…なんだ…
この人、優のマネージャーさんだったんだ。
「いえいえ、こちらこそいきなり声をかけたりなんかして、変質者みたいですよね。
失礼しました…。」
と、頭を下げながら笑った。
"変質者"だなんて、そんな…
思わず、クスッと笑いが洩れてしまった。
なんか、長井さんて…
人が良さそうで、親しみやすそうな人だな…。
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