暫くして、腫れきった目を冷やそうと、階段を降りてリビングに向かうと。
すでにリビングには、朝食準備をしているお母さんがいて。
あたしの存在に気付き、顔を見るなり、一瞬とても驚いた表情をしたけれど…。
「おはよう」
とだけ言うと、あえてそれ以上のことは触れずにいてくれて。
そんな気遣いが
すごく嬉しかった―…。
あたしも「おはよー」とだけ挨拶をして。
冷凍庫から氷を取り出すと、氷をビニール袋に詰めた。
そのままテレビの前のソファーに座りながら、氷で目を冷やす。
『―…冷たっ…』
あまりの冷たさに、瞼には鋭い痛みが走る…。
【―…続きまして
芸能ニュースです。
先日、人気女優の白崎聖花さんに、熱愛が発覚致しました。
お相手は、イケメン俳優の一ノ瀬優さんで…】
テレビから流れる、そのニュースに。
あたしの体は、ビクンッと反応を示した…。
『またこのニュース…』
昨日から、飽きる程、ふたりのことが取り上げられていて。
もう見たくもなければ、聞きたくもなかった…。
あたしはソッコーでチャンネルを変えると。
再び込み上げてくる涙を食い止めるように、氷の入ったビニール袋で、目を塞いだ―…。
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