自分で考えてもあたしらしからぬ反応に、眼前のカサつきのない唇の隙間から押し殺した笑いが洩れた。




「翼ちゃん、かわいい」




コイツから告げられる言葉が本心なのか面白がってるだけなのかわからない。

見た目も中身も、女らしさなんてあたしはないのに。

かわいいなんて一番無縁な場所にいるのに。



それなのに……コイツは馬鹿か、ほんとに。



照れてることが少し恥ずかしくなってうつむくと、またシャクにさわる笑い声を洩らしながらあたしを離す。

そして。




「照れてるのかわいー」




赤いだろうあたしの頬を軽くつまんできた。



ああ……やっぱりからかってるだけだコイツ。

あたしの反応見てる面白がってんだ、絶対。





「……死ね!!」

「翼ちゃんが本気で望んでるなら死んであげる」



即答する目の前の男に、あたしは顔を歪める。



「……いや、やっぱ死ななくていい」

「そ?」






その貼りつけたような笑顔に、



……逃げらんねえ。



と、切実に思った。






こいつがもっと苦手になった――そんな、日曜日だった。