『ッ…悠翔』
涙が溢れ出して止まらない。


「陽はこれから沢山の愛が注がれる……母さん、俺、剣夜から。今まで一人だった分甘えて…愛してもらえばいい」


悠翔が目を閉じた瞬間

あたし達の間に
優しい風が吹いた気がした――



「なぁ? ………剣夜」

『え?』

「ずっと見てたんだろ?」

悠翔の視線の先を見ると、
剣夜が無表情であたしを見つめていた。

「陽が心配で…来たん?」

「………俺はそんないい奴じゃない」

「じゃぁ、陽が離れていくと思ったのか?」
悠翔も剣夜のように無表情で返す。

「……」

「剣夜、陽を男として愛してやってくれ。俺にはもう出来ないから」

「俺は……悠翔のかわりじゃない」

「あぁ」


剣夜はあたしに見せる優しい表情になり
「でも…お前の分まで男として陽を愛すよ。大切にする…お前に誓う」

『剣夜…』


優しい言葉を奏でた。