裏切られたんだ……
あたし。



そのまま声を発することも出来ずに放心しまっていると、
剣夜がゆっくりと抱き上げて体育館を出て行った。

悠翔の
「陽…」
という声を剣夜の背中から聞こえるのを聞きながら―――







剣夜はあたしを校舎裏に連れてきて階段に座らせると

「大丈夫か??」
心配そうにあたしの頭を撫でる。


何も反応しないあたしに剣夜は眉をひそめて、
「陽、ごめんな……」
と消えてしまいそうな声で言った。

「悠翔との仲を……陽の幸せ壊してごめん」

あたしはゆっくりと首を横に振る


『いいの…遅かれ早かれ、こうなる運命…だったんだよ。きっと』

「……あと」

『何??』

「傷付けて…ごめん」

『剣夜は何もしてないじゃん』
まぶたが腫れて重たくなった目で笑うと剣夜は切なそうにあたしに微笑み

――あたしのまぶたに優しいキスを落とした。