超ド級の天然である。
梱包に使われるプチプチを何の気なしに潰していた所、いつの間にか大事なコンタクトレンズ(ハード)まで潰してしまっていたり、もともとはペットとして飼っていたシロアリに完全に家を食い尽くされたり、とにかく普通では考えられない事がこの男の周りでは続発するのだ。そもそも何故プチプチの上に裸でコンタクトを置くのか。何故ペットとしてシロアリをチョイスするのか。その辺りが常人には理解できない。天然を天然たらしめているのは、まさにこういったぶっ飛んだ感覚なのである。
亀山哲哉。この男を見ていると、イッセー尾形を思い出さずにはいられない。さながら『天然劇場』という名の一人芝居を見ているかのようで、小気味がいい。
先月の公演もなかなか見応えがあった。
場末のそば屋での一幕である。
その日、どうも腹の調子がかんばしくなかった彼は、そばをすする音に合わせて、バレないように軽く屁をこいた。しかし、予想以上にパンチの効いた屁が出てしまった。(音も匂いも) 普通であれば、単に恥ずかしい思いをした。というだけで終わるのだが、天然劇場はそう簡単には幕を閉じない。あろうことか、隣に座っていた強面のおっさんに絡まれたのである。
「今屁ぇこいたろ?」まさか34にもなって、そんな事を突っ込まれるとは思ってもみなかった彼は、思わず「いや。」と自信満々に嘘をついてしまった。すると「てめぇ、嘘までこくんか!二度とこくんじゃねぇバカヤロォ!!」と大声で怒鳴られ、その迫力に圧倒された彼は何も言えず、ただコクっと頷いた。普通であれば、ここで終われるところだが、天然劇場はやはりそう簡単には幕を閉じない。「こくな!って言われて、コクっと頷くってお前、ケンカ売ってんのか?こくなって言ってんだろうが!こくなって!!分かったかぁ!!」


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