「どうしようも何も、あんたが塾を休むための作り話でしたって言い出るわけにはいかないでしょ」


 こういった類の話が学校から連絡される場合、警察の指示によることが多い。

 今回の作り話にしたって、母さんが口裂け女ブームの只中に学生であったからこそ上手く騙せるだろうという魂胆であり、だからこその「怪人」話なのである。

 その口裂け女の事件でも噂が噂を呼び、あまりに話が広がって警察から学校への指示が出たではないか。

 こうなる予想は、できたはずなのだ。


「何だかその言い方だと俺だけ悪いみたいじゃん!」


 事実そうだと思うのだがどうだろう。この子が塾を休みたいなどと言わなければ、私はこんな嘘物語を作ったりはしなかったのだ。どうしてくれよう。

 眉を寄せてしばし考え込む。どうせバレるときにはバレるのだ、と分かっていても覚悟はなかなか出来ないものだ。

 何か抜け道は無いかとプリントを再度、食い入るように見つめると引っかかる一文があった。


「あんたが悪いんでしょうが。ところで――これどういうこと?」