「あたし?」 そう聞き返したあたしの言葉に、コクコクと頷くその子たち。 あたしはシューズの紐を結びなおすと、 「何?」と横に置いていたテニスラケットを手に持って立ち上がった。 「あの、あたし、1組の田中って言います」 そう言って、あたしに声をかけてきたほうの子が軽く頭を下げる。 隣の子が「山崎ですっ」と頭を下げた。 何をそんなに気を遣っているんだろう、 と、不思議に思いながらも「どーも」と相槌を打つ。