恋愛磁石




徒歩3分程度の距離を走っただけだのに。

家に着いたときには、あたしのグレーのTシャツは肩から鎖骨あたりまでが黒近い色へと変わっていた。


そんなことは気にせず、急いで部屋に上がったあたしは。

折り畳み傘を持って、階段を駆け下りる。



「ちょっと未来?
びしょ濡れじゃないっ。どこ行くの!?」



玄関で傘を差していたあたしに、お母さんが慌てた様子で声をかける。


それに「ちょっと」とだけ答えたあたしは、雨の中をもう一度走り出した。