人間の王子様に恋をし、泡となって消えた人魚姫の伝説――。 それは、ここ人魚の世界でもみなが知る有名な物語だった。 いや、物語というより歴史上本当にあった出来事らしい。 アクアが聞いていたのは、その悲劇が起こったから海の神様は人魚の世界に結界をはり、人魚は大人になっても外の世界に出られなくなった、ということ。 しかし実際は――― アクアは一つの岩を手でなでながらつぶやく。 「出れないように結界をはっていたのは神様じゃなくて王族だったなんてね……」