全ての検査を終え、結果を見た当直医の大谷先生の表情が厳しいものに変わった。

『こりゃ、虫垂炎だけじゃない、腹膜炎も起こしてるよ。

大至急オペの準備を…』

一段と高まる緊張感。

大谷先生と共に手術の承諾書を持って永瀬さんのところに行った。

先生が病状の説明をした後、

『手術…って、どういうことなんだよ!!!?』

動揺の色を隠せない様子の永瀬さんに、

「今、先生の方から説明のあったとおりです。どなたかお身内の方はいらっしゃいますか?」

私の質問に答えることなく、

『何で手術なんだよ!!!?』

尚も攻撃的な態度を崩そうとはしなかった。

久々のモンスターペイシェントね。

それもかなり手強い部類の

こんな時こそ彼女の出番だ。




『苦戦しているわね、野島。あとは私に任せて。

彼には身内なんていないわよ。ね、勇輝。』

背後から洋子主任の声が聞こえた。