『ナイト』の前にタクシーが着くと、先に降りた勇輝が私に手を差し伸べた。 ほんの一瞬躊躇したけれど、店の前で勇輝に恥をかかせるわけにはいかないので手を差し出し、タクシーから降りた。 何だかお姫様気分。 でも、ドキドキしてしまう。 『ナイト』の重厚な扉に張り紙があった。 そこには、“本日貸切”と書かれていた。 「ねぇ、貸し切りってどういうことなの?」 何だか不安になってきた。 勇輝はただ笑うだけで、 『入ればわかるよ。』 そう言って、扉を開けた。