勇輝が今まで見たことがない優しい笑顔を私に向けた。
『誕生日おめでとう、優季。』
勇輝の甘い声が鼓膜をくすぐると、体温と心拍数が一気に上昇していくのを感じた。
今日が、自分の誕生日だってわかっていたけれど、こんな風に祝ってもらえるなんて…
しかも、勇輝がケーキを作ってくれるなんて夢にも思わなかった。
『驚いた?』
なんて、悪戯な笑みを浮かべる勇輝に、
「もぉぉぉ!!!驚いたなんてもんじゃないわよ!!!
まさか、自分のバースデーケーキとも知らずに、作り方教えていたとはね…」
洋子主任がこのことを知ったら、
『アンタ、ホントにバカだねぇ!!!』
なんて、呆れられそうだ。


