─side.優季
勇輝が部屋から戻って来た。
でも、バースデープレートを取りに行っただけなのに、なぜか大きな紙袋も持って来ていて、
このまま出勤するつもりなのかしらね。
ケーキも初めてにしてはきれいにできた。
あれだけできれば、お客さんだって喜ぶだろうな。
勇輝はピアノも上手で、大学院に通っているくらいだから、頭もいいんだろうし、
天は二物を与えずということわざがあるけれど、神様は彼にいくつも与えていて、何だか不公平だ。
『できた!優季、見て見て!!!』
子供みたいにはしゃぐ勇輝に促され、完成したケーキを見た途端、私の心臓がドクン!と大きな音を立てた。
「嘘…」
だって、
だって…
プレートには、
“Happy Birthday 優季”
と、書かれていたから。


