部屋の中を甘い香りがたちこめる。 『勇輝、見て見て!ケーキが膨らんできたよー!』 優季の弾む声が聞こえてきた。 急いでキッチンに行くと、オーブンの中を覗いてみると、 「どれどれ… おっ、すげぇ…こんなの初めて見た。」 オーブンの中のケーキ生地が徐々に膨らんできた。 『勇輝が一生懸命、卵を泡立ててくれたからだよ。 今日は、上手くできそうだな…』 そう言って、オーブンの中を見つめる優季の表情は、何とも穏やかで、俺の心を和ませてくれた。