優季は立ち上がると、ケーキの様子を見に、キッチンに戻った。 俺が勘当されたことは、オーナーだけが知っている。 このことは、オーナーと親密な関係にある洋子さんですら知らない。 優季は『勘当』という言葉を聞いて、瞬時に奥深くまで読み取っていた。 やはり、その辺にいる女とはひと味もふた味も違う。 まだまだ俺の知らない優季がいる。 もっともっと優季のことを知りたい。 もっともっと俺のことを優季に知ってもらいたい。 心からそう思った。