ようやく混ぜ合わせた生地を、ケーキ型に流し入れ、オーブンに入れた。
『170度で25分、スタート!』
焼いている間に、優季は使っていた器具を洗い始めた。
「手伝うよ!」
俺が手を出そうとすると、
『慣れないことすると疲れるから、ちょっと休憩しなさいよ。』
そう言うと、インスタントだけどと言って、手早くコーヒーを作ってくれた。
確かに慣れないことをするのは疲れる。
洗い物をする水音が、部屋の中に響きわたる。
何となく、空気が重苦しいように感じるのは俺だけだろうか……?
気を紛らわせたくて、コーヒーを口にした。


