私には、全身が痒くなるような不快感でしかない。
グラスを合わせ、照明の光にかざす。
「綺麗…」
この液体の中でゴールドの泡がキラキラと輝き、私を妖しい異世界へと誘(いざな)って行く…そんな気がした。
『ほらっ、もったいぶってないで、早く飲みなさいよ!こんなに美味しいドンペリ初めてだわ〜!』
主任はもう既に上機嫌で、何杯目なのかわからないくらい飲みまくっていた。
えぇい!!!
もうなるようになれ!!!
私はグラスの中でゆらゆら揺れるシャンパンを一気に飲み干した。
でも、ここは私にとって居心地の悪いところであることには変わらず、美味しいドンペリの味も私にはわからなかった。


