勇輝は私をテーブルに案内してくれたけれど、
「私はいいからお客さんのところに行って!
遅刻した分取り返さなきゃダメでしょ?」
私の言葉に勇輝は苦笑し、
『何言ってんだよ?
お前だって今日は客なんだぞ?』
そうなんだけど、
「ごめん!アルコール飲んだら、寝ちゃいそうだからスタッフルームに行く!」
そう言って、席を立とうとすると、
『野島さーん、逃げようったってそうはいかないわよ!!!』
背後からありすぎるくらい聞き覚えのある声が聞こえた。
私の目の前にいる透オーナーの顔が微妙にひきつっている。
わかってはいるけど、ゆっくりと振り返ってみる。


