知らなかった…
主任が助産師の資格を持っていたなんて…
きっとそれは、真人のことが好きだったからですよね。
『ほらっ、ボサッとしてないで、さっさと処置する!』
「は、はい!」
加藤さんに処置を施し、必要なものを揃えて、処置室に持って行こうと廊下に出ると、
『優季!』
呼び止められ、振り返ると、
『こちら、加藤さんのご主人…』
勇輝が連れて来てくれた。
ご主人を加藤さんのところに案内すると、
『啓ちゃん…』
加藤さんはご主人の顔を見て安心したのか笑顔を見せた。
私はご主人に、加藤さんと赤ちゃんの状態を説明し、破水はしてしまったけれど、赤ちゃんは元気であること、お産の進み具合によっては、母体と赤ちゃんの安全を考え、帝王切開に切り換える可能性もあることを伝えた。


