救急車が病院に着いたが、
救命救急センターは作業服を着たケガ人で溢れかえっていた。
『野島!こっちこっち!』
洋子主任の誘導で、処置室にストレッチャーに乗せた加藤さんを運んだ。
「赤ちゃんの様子、見させてくださいね。
じゃ、力抜いて…そう…」
内診すると、
膜はないし、赤ちゃんの髪の毛に触れた。
やはり、破水しているようだ。
「主任、破水してますね。」
『急いで抗生物質打たないと…で、子宮口はどのくらい開いてるの?』
「5センチです。」
『5センチか…
産婦人科も今、分娩が立て込んでいて緊急オペが入っているみたいだし…
今の状態なら自然分娩は可能だけど、場合によっては帝王切開も視野に入れないといけないわね。』


