「話は後!
救急車呼んでくれる?」
『わかった!』
勇輝はスーツのポケットから携帯を取り出すと電話をかけた。
「ね、あなた母子手帳持ってる?」
妊婦は苦しそうに頷いた。
「ごめんなさい、バッグ勝手に開けさせてもらうわよ。」
バッグから母子手帳を取り出して中を見る。
『悪い、状況を教えてくれって…』
勇輝から携帯を受け取ると、
「もしもし、妊婦の名前は加藤美希さん、30歳、初産婦で、現在妊娠35週目、自転車に衝突した際、破水したものと思われます。
後、5分ほど前から陣痛が始まったようで、かなり苦しそうです。
私ですか?私は桜ヶ丘総合病院、救命救急センター看護師の野島です。
大至急お願いします。」


