優季の腕には、俺が掴んでいた手の跡が赤くくっきりついていた。

『あぁぁぁ!!!

もう永瀬さん、こんなに赤くなっちゃったじゃないですか!

裁判の話は元気になってからいくらでも聞きますよ。
さっ、病室に戻りましょ?

痛っ!』

車椅子を押そうとして、優季は顔を歪めた。

『私が行くわ。

あなたは医局に行って、どなたか先生に診てもらいなさい。

勇輝、野島はうちで一番の働き手なのにこれじゃ当分使い物にならないわ。

慰謝料と治療費でざっと1億は下らないわね。確かあなたも野島に1億要求していたわね?これでチャラよ!』

優季に代わって車椅子を押す洋子さんに、キツイ一言をお見舞いされた。


この後、外科病棟の看護師からもこってり絞られたのは言うまでもない。