『どうやら、俺達は白川と中山にはめられたようだな…』
先生は苦笑した。
「は、はぁ…」
本当にどうすればいいの…?
『仕方がない…こっちはこっちで桜見ながら帰るとするか』
先生はそう言うと、ゆっくりと歩き始めた。
私はその後を遠慮がちについて行った。
病院の外に出ると、桜並木の桜が今を盛りに咲き誇っていた。
まだ花びらひとつ散っていない…
「満開だ…」
あまりの美しさに引き込まれるように花を見上げた。
『本当に満開だな…今年は見られないと思ったけど…良かった』
先生の笑顔は優しくて、胸の鼓動は急激に速度を増した。


