「お話は、仕事が終わってからでもいいですか…?」
先生は頷くと、メモ用紙に何かを書いて私に渡した。
『携帯の番号とメールアドレス、終わったらどちらでもいいから連絡して』
そう言うと、分娩室を後にした。
失恋した今、メアドをゲットしても何だか気持ちは複雑で…
先生が私に話って何だろう?
洋子先輩のこと?
だったら美也子先輩の方がよくわかっているのに…
ううん、
真面目な先生のこと、仕事の話に決まっている。
後片付けが終わり、ナースステーションに戻って、カルテの記入を済ませて帰ろうとすると、
『野島さん、もう上がらないといけないのはわかっているんだど、503号室の山城さん、乳腺炎で熱が高いの。
とりあえず抗生物質の投与はしたんだけど、かなり母乳が溜まって痛そうにしていたから、できる範囲で母乳を搾り出すのをやってもらえないかしら?』


