『永瀬勇輝さん 23歳、

仕事中に激しい腹痛を訴えています。

血圧、100の60、脈拍…』

救命士の説明を聞きながら、頭の中にバイタルをインプットする。

『…うぅっ!…くそっ!

オイッ!早くこの腹の痛み…何とかしろよ!』

この声の主、

ちょっと長めのライトブラウンの髪、

さりげなく漂うフレグランスの香り、

整った顔立ち…

その黒目がちな瞳で見つめられたら、世の中の女の子達は秒殺されてしまうのだろう…。

若いながらも、高級ブランドのスーツをビシッと着こなすサマはまさしくホストそのもの。

『ちょっとアンタ、何ジロジロ見てんだよ!』

永瀬さんは、激痛に顔を歪ませながら、鋭い視線を私にぶつけた。