「はい、しっかり呼吸して、赤ちゃんに酸素送ってあげてくださいね」
看護師になってから、分娩介助はもう数え切れないくらいやっている。
田上先生とのコンビネーションは絶妙だと私は思っている。
ひとりだって生むのが大変なのに、ふたりの子を十月十日(とつきとおか)の間、お腹の中で育てて、出産する妊婦さんは本当に大変だと思う。
双子の分娩介助は今回が初めて。
いつも以上に緊張する。
ポンッ!
肩に手が置かれ、振り返ると、
田上先生は笑顔で、
『緊張してるのか?
ひとりでも双子でも、生まれてくることには変わりない。つも通りにやればいいんだ』
そう言うと、私の頭をポンポンと叩いて妊婦さんのところに行った。


