『はい田上…わかりました、すぐ行きます』
電話を切ると、
『双子の自然分娩だ!
珍しいケースだから、野島、お前も来い!』
先生に腕を掴まれ、引っ張られた。
「ちょっと待ってください、先生!!!
すみません、ご指名なので行ってきます…」
そう言い、ふたりの先輩を見ると、
『新米助産師さ〜ん!行ってらっしゃ〜い♪』
脳天気に手を振る美也子先輩とは対照的に、
『………………』
言葉を発することなく冷ややかな目で私を見る洋子先輩に私の笑顔は凍りついた。
あんな洋子先輩、初めて見た。
そういえば洋子先輩、田上先生が来てから様子が変だった。
もしかして、洋子先輩も、
田上先生のことが…
好き……………?


