目はテレビ画面の映像を捉えてはいても、意識はキッチンで後片付けをしている優季に向いていた。 優季は自分が話そうとしていることに対して、今、何を思い、どんな気持ちでいるのだろう。 『待たせちゃってごめんね。片付けてからでないと、落ち着いて話ができないような気がして…』 優季はエプロンで手を拭きながら、俺の隣に座ると、 『今から話すこと… 洋子主任の話と被るかもしれないけど…聞いて欲しいんだ』 優季の緊張を帯びた真剣な眼差しに、俺は無言で頷くことしかできなかった。