『おいっ!人の部屋に勝手に上がりこんで…あれ?お前、泣いてんの?』 演奏を終えた勇輝は、驚きの声を上げると、私の顔を覗き込んだ。 「な、泣いてなんかないわよ!目にゴミが入っただけ… 何回鳴らしたって出てこないし… 不用心じゃない?玄関の鍵くらい閉めなさいよ! ご飯できたんだから、早く来て!」 強い口調で言うと、さっさと自分の部屋に戻った。 すっかり冷めてしまった料理を温め直していると、 『おっ、いい匂い…』 勇輝が入ってきた。