あいつをかわして、右手を振り上げ、反撃の開始…


のはずだったけれど…


ガシッ!


またしても、振り上げた手を掴まれ、


『ホストは顔が命…殴らないでくれる?』


あいつはグイッと引き寄せ、私の唇にふわっと触れるだけのキスを落とした。


『さ、俺も帰るかな。

カレー美味かった、ごちそうさん!』


茫然とする私の頭を撫でると、あいつは自分の部屋に戻って行った。


ふらふらと立ち上がり、ベッドに倒れ込む。


サイドテーブルの写真に目を向けた。


いつも笑顔の真人がそこにいる。


30歳のまま歳をとらない真人が…