数日後、俺は『太陽』の事務所にオファーを申し出た

俺の会社のコマーシャル出演依頼だ



先方も大手の契約だからか大分乗り気になってくれ、一度本人に会いに行った




事務所の応接室で待っていると、『太陽』本人が現れた

「こんにちは…」


「あ、こんにちは。」

俺が席を立って挨拶をすると、『太陽』は不思議そうに俺を見ている

「あの…」

「すげー…、マーキングなんて初めて…」

聞き取れるか、聞き取れないかくらいの声で呟いた

「え?」

「あ、いえ。何でもないです」

そう笑う彼は俳優の父親によく似ていて、それでいて彼女と同じ色素の薄い美しい造りをしている…


契約も完了し打ち合わせをすすめ、日程も組んだ




「あの〜、いつか時間がある日はありますか?」

「はい。何か?」

「会っていただきたい人がいるんです…その…あなたのファンなんですが…」

彼は俺の心を見透かすような目で見つめ、少し微笑んだ

「構いませんよ…。来週なら火曜と金曜が空いているので、どちらでも…」