今更に気付いた。 携帯電話に指を伸ばしたその手が赤く染まっていることに。 ハッとしてもう片方の手のひらも見れば……同じだ。両手が真っ赤に染まっていた。 「………嘘だろ…?」 本当に私が殺したのか? 愕然と自分の手のひらを見つめている私の耳には、鳴り続けるコール音は届いていなかった――――。