消された煙草



「何故、ですって?分からないの?」


ヒステリックに声をあげた彼女が目を見開いた。


指に挟んだ煙草から、長くなった灰が落ちる。


「あ……」


視線で追ったその先、フローリングの床の上で灰は砕けた。


それも気にせず、彼女は一歩、私に歩み寄って口を開いた。


「あなたが自分自身に全く気づかないからよ」


「自分自身って……、私は私で…」