その日はその年の中でも一番の暑さを記録した日だった。 彼女は私のアパートの階段下に座り込んでいた。 「どうしたんですか?」 声を掛けた私に、彼女は青白い顔を上げて答えた。 「貧血で……」 私は不謹慎にも彼女のその血の気の引いた白い肌と、震えるようなか細い声に胸が高鳴るのを感じた。 「良かったら、私の部屋で休んでください、こんなところじゃなかなか良くなりませんよ」